発展公園で出会ったノンケとの攻防①
職場と自宅を車で走る道路沿いに、ゲイ界隈で有名な公園がある。
発展場ならぬ、発展公園、発展トイレなるスポットだ。噂は聞く程度で、実際に行ったことはなかった。
行く勇気がなかったというよりは、そういう場で出会えるような男にあまり期待していない、という方が近い。
しかしその日は、会社帰りの途中に尿意を催したことと、
最近ご無沙汰だったこともあり、ふと興味が湧き、何の気なしに公園に寄ってみた。
しかしまだ夕方だし、特にハプニングは起きないままトイレで用を足し、車に戻ろうとした。
「あの、すみません。」いきなり後ろからと声をかけられた。
いきなりゲイのナンパか!?と、心臓ばくばくさせて振り返ると、20代後半くらいのスーツ姿の男がいた。
背は高くないが、パッチリ二重のきれいな目をして、前髪を立たせてるなかなかのイケメン。
こんな上玉にナンパされたら天国だが、彼の表情からしてナンパではなさそうだ。聞くと、出張で初めてきた来たこの地で、携帯電話をなくしてしまい困っているとの事。
俺はケータイを貸してやった。彼が自分の番号にかけると、昼に訪問した会社に忘れていたらしく、そこで預かっているという。
彼はほっとした様子で、電話しながらペコペコお辞儀していたのが可愛かった。
一見かっこいいけど、飾らない田舎臭さみたいなのと、人柄の良さがにじみ出ている彼を、俺はすっかり気に入ってしまった。
俺は彼ともう少し一緒にいたい思いもあり、彼が忘れ物をした客先まで、車で送ってやることにした。
車で約20分、色々話をした。
彼は新藤君といって、地元も勤務先も岡山県の27歳らしい。
営業の仕事をしており、他県に一人で出張するのは今回が初で、携帯電話をなくして相当不安だったようだ。
学生時代はバレーボールをやっていて、最近もジム通いで鍛えているという若い肉体は、スーツの太ももをいやらしく張り詰めさせている。
俺の性欲を刺激してしやがる。彼がハッテンする為にあの公園に来ていたのなら最高だったのに。
そして、客先に着いて、無事にケータイを回収した新藤は、
「本当にありがとうございました! この後ご都合よければ、お礼にご馳走させてください!」と言ってくれた。
おごってくれる必要はないけど、彼と近づきたい俺は、喜んで彼の誘いに乗った。
新藤が泊まるホテルをきくと、ちょうど近くに魚のうまい居酒屋がある辺りだ。
俺は車を運転する必要ので、「遠慮せず、新藤君だけ呑んでくれていいからね」と言った。
「僕だけ呑むなんて申し訳ないですよ。岡田さんも一緒に飲みましょう! 今日は車は置いて帰って、俺のホテル泊まればいいじゃないですか? ベッド2つあるみたいですよ」と言うのだ!
彼には人に対する警戒心はないのだろうか? 出会ったばかりのオッサン(俺は34歳)をホテルに誘うなんて。
人懐っこくて可愛いと思う一方で、実はゲイなのかな?という期待が込み上げてきた。あの公園がハッテン場だと知って訪れいてたのか?
相手が「こっち」ならその後を色々期待できるが、ノンケが相手ではそうはいかない。それでも俺は密かに淡い期待を抱いていた。
まあ最悪、代行で帰ればいいから、と言い訳をつけて、俺も酒を飲むことにした。
<つづく>
イケノン ~ゲイ体験談~